レポート提出日 | : | 2002年9月23日 |
実験日 | : | 1998年9月15日 |
レポート作成者 | : | HIROSHI |
今からおよそ四年前、アディダスの三本ラインジャージとコギャル文化が全盛の時代のころ。
普段は滅多に派手な格好などしない私(身長175cm、体重65kg、当時24歳)は、当時街中で、石を投げればアディダスの三本ラインジャージを履いた若者に出くわすという状況に大きな関心を抱いておりました。
ジャージが今を時めく若者の最先端のファッションになるなど、それ以前には考えられなかったように思われたからです。
黒字に白線のジャージが特に人気が高く、男女ともに着用。
水色地に白線も男女共であるが、どちらかと言えば女性に多い。しかしピンク地に白線のジャージを履いた男性の姿が全く見られないという状況に、私は何か流行の盲点のようなものを感じ取りました。
勿論それは当たり前と言えば当たり前でしょう。
昔から幼稚園の制服で、男子は水色、女子はピンクというところは結構あったようですし、小中高校の体操服も、男子が青系、女子が赤系というケースはごく一般的なものだったでしょう。
男が青を着、女が赤を着る。
我々がごく当たり前の事と思い込んできた風習。
しかし、それは一体どのような根拠があってのことなのでしょうか。
そう考え始めたところ、私の地元のある公立中学で、男子がエンジ色のジャージ上下を着用し、女子が紺色のもの
を着用するという学校があったことを思い出したのです。
それならば、なぜ今(四年前)の若い男性は、ピンクに白線のアディダスのジャージを履かないのか!。
履いたっていいではないか!!。
そういう思いが込み上げてくると、私はいてもたってもいられなくなり、どうしても私がそれをやって周りの反応を見るという実験をしたくなってきたのです。
実験場所に迷いはありませんでした。
渋谷のハチ公口前広場です。
何よりも若者の流行の最先端の町ではありませんか。(ちなみに私が渋谷のハチ公口の地を踏んだのはこれが初めてでした。)
1998年9月15日(敬老の日)の午前十時頃、前日に購入したピンク地に白の三本ラインが入ったジャージを履いて渋谷のハチ公広場に降り立ちました。
この時点で、数時間後に私の身起こることを誰が想像できたでしょうか。(言い忘れましたが、私が立ち寄った服屋ではいずれも男性サイズのピンク地に白線のアディダスジャージは店頭に置かれており、このことだけでも、男性がピンクに白線のアディダスを履くことの「正常性」を物語ってはいないでしょうか。)
そこで私は、よく「渋谷の若者達」がするように、地面にあぐらをかいて座ったり、しゃがんだままでいたりもしました。(私はそれまでは一度もそのようなことをしたことはありませんでした。)
すると私から数メートル離れたところに、雑誌のための写真撮影で来ているらしい五、六名のコギャルの集団を発見。
そこで私は彼女らの反応を見るべく、立ち上がり、彼女らと目を合わせようとしました。
すると私と目が合い、私の姿を暫し凝視していたコギャルが仰天。大声を出し、仲間のコギャル達に、「ちょっと、私すごいもの見てしまった」と叫んだのです。
彼女が私のほうを指差すがままにほかのコギャルたちは私のほうを見ると、同様に、びっくり仰天した様子で、相当な興奮気味。
そこで私はしゃがみました。次に彼女らは何やらこそこそと話し始めました。
漏れ聞こえてくる内容からすると、どうやら私に話し掛ける人間を選ぼうとしているらしい。
そして「ユウコ」という名のコギャルが当たったとの事。仲間達は手拍子で「ユウコ」「ユウコ」とはやし立てるのですが、当のユウコはどうも、単身私に話し掛けるだけの勇気がなく、尻込みする様子。そこでほかのコギャル達も一緒に相談しはじめたところ、そのうちの一人が次のような提案をし、全員の一致を見たのが聞こえたの
です:
「かごめかごめ」で殺ろう!(「殺ろう」(やろう)の漢字は私の推測による。)
私はびっくりしました。
しかし同時に、凄い事になったと思いました。
彼女らはみな甲高い声をそろえて「かごめかごめ」の歌を歌いながら、最初は遠巻きにしながらも、徐々に私に「攻め寄って」来、最後の「後ろの正面だ〜れ」のところで、しゃがんでいた私は彼女らに完全に取り囲まれてしまったのです。
私は「かごめかごめ」の鬼となったわけです。
彼女らのうちの一人が開口一番「何やってるの?」
私は「気分転換」と答えました。
しかし彼女らのうちの一人は、近くに交番があるのを見つけ、不審に思われる危険性を指摘。
すると彼女は私に「ねえ、かごめかごめしない?」と。
しかし私に複数の選択肢などあるはずもなく、私は「ええ、いいですよ」と答えたのです。
「かごめかごめ」は再開。
しかし今度のはただの「かごめかごめ」などではありませんでした。
最初の「か〜ごめかごめ」の一節が終わったところで、私は真後ろにいたと思われるコギャルにお尻の穴を軽く蹴られたのです。
私は最初、何が起こったのかわかりませんでした。ただ誤って足が当たっただけなのかと思いました。
しかし次の「か〜ごのな〜かのと〜り〜よ」の後にも、その時、真後ろにいたと思われるコギャルにお尻の穴を蹴られてしまったのです。
ここへきて私はやっと事態を理解するにいたりました。
今、自分が置かれている事態を。
渋谷の駅を降りてハチ公口に降り立ったときには想像だにしていなかった事態を。
「かごめかごめ」はどんどん進行してゆきます。
私はふと目を開けて、しゃがんだ股の間から後ろを見ると、順調に私のお尻の後方を通り過ぎてゆく彼女らの靴が見えました。
結局私は彼女らに順番に五、六回程、お尻の穴を蹴られてしまいました。
私は相当な興奮を感じていました。
私は何も彼女らに強く蹴られたわけではないのです。
「ポン、ポン」と軽く(勿論ある程度の強度で感じられたものでしたが)蹴られたのであったせいか、それはわたしにとって本当に気持ちよく感じられるものだったのです。
そして「後ろの正面だ〜れ」で終わりましたが、私は彼女らの名前は知りません。強いていえば「ユウコ」という名を耳にしただけです。
今思えば、その名を口にしてもよかったのかもしれませんが、どういうわけか、鬼である私は何も言わずにしゃがんでいたのです。
すると彼女らは「あっ。名前知らないんだ」と言い、これでもって世紀の「かごめかごめ」は終了したわけです。
もしその時点で私が「ユウコ」という名を口にし、もし私の「後ろの正面」にいたのが別のコギャルだったら、どうなっていたのでしょうか。
やはりお尻の穴を蹴られていたのでしょうか。
そう思うと、なんだか残念です。
その後彼女らは撮影の仕事に戻り、私も彼女らとは別れてセンター街の方へと歩いていったのですが、暫く興奮冷めやらなかったのは言うまでもありません。
男がピンク地に白線のアディダスジャージを履いて渋谷を歩いた場合、それはコギャル達を大いに刺激し、結果、強制的に「かごめかごめ」の鬼として取り囲まれ、果ては彼女らの歌う「かごめかごめ」の歌のリズムに合わせて順番に、お尻の穴を蹴られてしまう!
ということになります。
あれから四年。
私のお尻の穴を蹴っていったコギャル達は、今、何処で、何をしているのでしょうか‥‥。
最初は普通のフォントで書いたのですが、思うところがあってフォント弄り無しの楷書体にしてみました。
ところで本文ですが‥‥。
by 神楽坂博
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