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投稿実験レポートNo.244
携帯電話をカットする装置を使い、相手の反応を見る



投稿文章

 2002年7月のある日、秋葉原の電気街をぶらついていたら、ある店で『圏外くん』なる商品をみつけた。
 パッケージの説明によれば、この商品は「スイッチをオンにすると妨害電波を発信して半径2〜3メートル以内の携帯電話(PHS含)を、その名の通り圏外にしてしまう」と言うものだった。
「(へー、こんな商品があるんだなぁ)」
そんな時、ふとこのサイトを思い出した。

「(そういえば、実験リクエストの中に”携帯電話をカットする装置を使い、相手の反応を見る”っていうのがあったなぁ)」
みんなに刺激され、「(僕も何か実験してみようかな)」とたびたび思っていたので早速買い求め、実験をしてみることにした。

●用意するもの
  • 圏外くん:1個
  • ターゲット:数名

 ”圏外くん” は型番CX-100といい、ぱっと見はライターのような形をしている。単4電池2個使用
 ターゲットは 、”携帯電話の利用はご遠慮ください”や”禁止します”となっているところで堂々と携帯電話を使っている人
 但し、話の内容が深刻な場合(人の命に関わるものや恋人と別れるかどうかの瀬戸際など)は除外。
 話の内容が聞き取れない場合は、深刻な顔をしているかで判断。


●実験その1
 7月下旬頃
 東急池上線車内都市を走る鉄道は大体どこでも「車内での携帯電話の使用はご遠慮ください」となっているが、東急は奇数号車が「携帯電話をマナーモードにして通話をご遠慮ください」、偶数号車が「携帯電話の電源をお切りください」と言うふうに細かく分けている。
 たとえば池上線は3両編成なので真ん中の車両では携帯電話の電源を切っておかなければならない。

 池上線の真ん中の車両にしばらく乗っていると、OL風の女性が携帯電話を使い始めた。
 「(この車両は携帯電話は禁止だぜ)」などと思いつつ圏外くんの電源をオンにする。

 小声で話していたので内容はよく聞き取れなかったが、よく笑っていたので深刻な話ではない。
 オンにした後、会話の中にやたらと「もしもし」が増えた。どうやら妨害電波が効いているようだ。
 が、カットするにはいたらなかった
 しばらくすると「今ちょっと電波よくないからまた後でかけなおすね」と言って電話を切った。


●実験その2
 同日、地下鉄浅草線五反田駅プラットホーム
 池上線の終点五反田駅に着いて地下鉄浅草線に乗り換えるときのことである。
 プラットホームで中国人が携帯電話で話している。それもとてつもなくバカでかい声で。
 今までに何回か公共の場でバカでかい声で携帯電話を使っている人を見たことがあるが、この中国人の声のでかさはトップクラスである。
 おまけに地下空間のせいかやたらとよく響く。
 周りにいる人はみんな迷惑そうな顔をして見ている。
 駅のプラットホームでは携帯電話の使用は禁止されていないのだが、とてつもなく耳障りなのでカットすることにする。
 中国語は全く解らないのだが、時々笑みがこぼれるので深刻な話ではないようだ。

 不自然にならないように近づいて圏外くんをオンにする。
 すると一発でカットされたのか会話がピタッと止まった。あたりは一瞬シーンとなる。
 ホッとしたのもつかの間、なんとかけ直そうとしている
 「(こりゃたまらん)」と思い圏外くんの電源を入れっぱなしにしておくと、あきらめたのか携帯電話をポケットにしまいこんだ。


●実験その3
 都市を走るバスも電車同様 ”車内での携帯電話の使用はご遠慮ください” とうたっている。
 大森駅から出るバスに乗ると、僕の正面の座席に座っている壮年夫婦の夫の方の携帯電話が鳴る。
 話の内容は釣った魚の大きさの自慢話だった。何もバスの中で話さなくてもいいじゃないか。

 さっそく圏外くんをオンにすると、すぐカットされたようだった。
 男性は「切れちゃったよ・・・。」と言いながらかけ直そうとすると、妻のほうが「別に今電話しなくたっていいじゃないの、もうすぐ降りるんだから」と言っていた。


●実験その4
 8月22日 タクシー車内。
 叔父の家に行くためにタクシーに乗ったのだが、運転手の携帯電話が鳴ると走行中なのにも関わらず
 「ちょっと失礼します」
 といいながら電話に出てしまう
 おいおい、携帯電話で話しながら運転するのは違反だぜ。ハンズフリー装置を使ってなければ(勿論、装置はない)。

 相手は同僚の運転手らしく、タクシー運転手特有の隠語を使っていたのでよくわからなかったが、「乗務が終わったら一杯やろう」と言った類の話だったようだ(そんな話は空車のときにしろよなぁ)
 早速圏外くんをオンにすると、一発でカットされた


●実験その後
 実はこの後、僕はとてつもないミスをしてしまう。
 圏外くんの電源を切り忘れてしまったのである。

 圏外くんの電源を切り忘れたと言うことは、、妨害電波がずーっと発信されているわけである。(当たり前です)
 妨害電波がずーっと発信されていると言うことは、自分の携帯もずーっと圏外になるわけである。(当たり前です)
 圏外になっていると言うことは、当然電話もかかってこないわけである。

 そんなことも知らずに、叔父叔母といろいろと話をした後家に帰ると、壮絶な修羅場が待ちかまえていた。

 妻(フィリッピーナ)が鬼(が見ても怖がってしまう)ような形相をしているのである。

「アナタ、ドウシテ携帯ニ電話シテモデナイ!?
 ドコデナニシテタノ!?、女ト浮気シテタノ!?」

 と怒鳴られる。

 電話がつながらなかった間、他の女性と「情事」をしているとでも思い込んだらしい(勿論そんなことはしていない、第一僕がそんなにもてるわけがない)
 フィリピン人女性は夫の浮気にとてつもない拒絶反応をする人が多いらしく、僕の妻も例外ではなかった。
 妻は相当頭に血が昇っていて、僕の話を全く聞こうとせず機関銃のごとく怒鳴る。
 そこで仕方なく、叔父と叔母に電話で証言をしてもらうと、妻も納得したようだった。
 ちなみに、妻からの留守番電話のメッセージが6件も録音されていた。


●実験結果・他
  1. ターゲットになった人は皆”携帯電話は切れるもの”と認識しているらしく、突然切れても「しょうがないな」と言う感じだった。
  2. 突然切れると、大体の人は携帯電話の画面を見る。
  3. 自分の携帯もカットされるので、諸刃の剣である。


管理者の意見,感想

 この『圏外くん』、よく店で見るし、買おうかな〜とは思うけど、結局買ってない。
 だって、「いたずら」するのはすきだけど、これってものすごーく『地味』だしねぇ。
 個人的には。もうちょっと派手でアクティブないたずらの方がいいなぁ。

by 神楽坂博


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