レポート提出日 | : | 2002年8月18日 |
実験日 | : | 2002年5月4〜5日 |
レポート作成者 | : | 南海の想人 |
私がこの船に乗るのは初めてでは無いのですが、いつもと違うことが3つありました。
・・・・・・・・・・・・ちょっと待て!!!!。
全力で突っ込みたくなりました。
特に3.!!
おいおい女神よ!、いったい私たちの未来に何を予言しようと言うのですか?
私は激しい後悔の念を感じまくったのですが、そんな僕の思いとは裏腹に、ゆっくりと『女神』は嵐の海への航海を開始したのでした。
もっとも、そんなことを気にしているのはまるで私だけであるかの様に、現地の皆様はいつものようにトイレの前や、甲板で『ヤンゴナ』という名の伝統飲料(アルコールではないが飲むと気持ちよくなれます・・・ちなみにEC諸国では輸入禁止)を囲み、そこら中で宴会をおっぱじめられました。
まさに嵐の予感全開の船出です。
・・・・・・・余裕です。
私も、この国に来てすぐなら丁寧にお断りしたでしょうが、今はもう大喜びでその0.5uのスペースに体を押し込んで丸まりました。
いや、それくらい混んでいたのです。
決して私が人としてのプライドを捨てたわけではないのです。
私はとにかく、寝れる場所が確保できただけで大満足で、いつしか深い眠りに引き込まれていきました。
まぁ、私はありがたいことにのび太と張り合えるほど寝ることだけは得意です。
当時僕はそんな事を知ろうともせずに、グーグー寝ていました。
私は一度眠るとほとんど起きる事がありません(まるで眠り姫のようですね)。
しかし、その私が、夜半目がさめてしまったのです。
原因はあちらこちらから聞こえてくるアザラシの大合唱のような声また声・・・(謎。
寝ぼけて頭を起こすとすかさずオッちゃんに蹴られます。何とかその場で身をよじり、立ち上がると、とんでもない光景が繰り広げられていました。
この感覚・・・・・
そうか!遊園地の『バイキング』にそっくりだー。
とのんきに思ったのも束の間、すごい落下感が襲います。
絶対この船、今一瞬空を飛んでました。
次に気がついたのは、船内の異様な空気です。
夜半から大雨の中に無謀にも突っ込んだらしく、おとなしく甲板で寝ていた人達までが、ただでさえ狭い船内になだれ込み、パニック状態です。
通路を埋め尽くし重なり合って寝る人の群れ。まさに人間パズルです。
そんな中、いまだアザラシの声があちこちから聞こえてきます。
おかしい、私は寝ぼけてはいないはず・・・、と耳を澄ますと・・・
あちこちから個性的な声が鳴り響いています。
そして船内のこの酸っぱいよどんだ空気・・・・
そうです。
お好み焼きです。
この南の海の嵐の中で、アザラシさん達は身動きもできないまま、日本の心、大量のお好み実演販売を行っていたのです(壊。
どこかで子供が泣いています。
お年寄りがうめく声、乾いたセキの音が、異様な熱気の狭い船内に響きます。
そして、大量の雨漏り。
漏る、というより流れ込んでくると言った方が良いのか、一部では滝のようです。
ホントに沈む勢いです、この船・・・。
薄暗い船内は、まるで十派一からげの奴隷達を運ぶガレー船のようでもありました。
僕も医療従事者の端くれ、何とか助けれるものなら助けたいのですが・・・・結果、移動不可能であることが判明。
竹馬に乗っても足の踏み場がありません。まぁこの激揺れの船の中竹馬に乗る馬鹿がいたらある意味すごいですが・・・。
・・・・・・思考分析中・・・・・・
「イテ!!・・・・・あ・・・生きてる。」
こんなにありがたい目ざめはこの25年間なかったように思います。
だって、まだ海の藻屑もしくはサメの餌に成ってないんですから・・・。
見わたすとみんな死人のようないい表情をしています。
どうやら嵐の海を何とか通り抜けたらしく、窓からはウソのような明るい光が差し込んでいます。
しかし、ここはあまりに空気が悪い。
外に出始めた人たちに習って、僕も人を踏みつつ、甲板に出ることにしました。
しかしそこには、見事なお好み村が展開され、足の踏み場もない有様です。
中には、歩きながら、甲板を横切り何とか海まで・・・・・
あぁでも、残念、もたなかったのね、って言うのがありありの細長―いお好みや、昨日食べたのがニンジンだったのか、血を吐くまで吐いたのか赤い・・・・(以下自主規制)
しかし、みなの顔は疲れきってはいますが、共に悪夢の嵐を乗り越えた、というなんだか分からない熱い絆に満ち満ちていて、私もなんだか色んな人に肩を打れたりしました。
のんきに寝ていたのでそのテンションにはついていけず、ちょっと寂しかったりもしましたが、皆の良い笑顔と朝日が素晴らしかったので、とりあえず幸せな気持ちになりました。
そんな僕らの傍を野生のイルカの群れが泳いでいきました。
失ったかもしれないもの
0.5u、71cm四方のところの雑魚寝‥‥。
by 神楽坂博
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