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投稿実験レポートNo.211-2
人は創意工夫で紳士らしい朝を迎えられるのか?



投稿文章

●はじめに
  • 僕は上水道ってやつがアバウトに整備された島にすんでいます。
  • これは実験、と言うより、僕の日々の生活である挑戦の記録です。


●事の起こり
 僕 明るい日差しが窓から差し込む、日曜の気持ちのいい目覚め・・・。
 体感気温はやはり寒い(南半球は今冬真っ盛り)、朝となればなおさらだ。
 しかし、窓から見える空は、高く、澄んでいる。いい気分だ。
 いい気分ついでに今日はボウボウに伸び切った髭をきれいに剃ろうと思い立つ。
 最近ワイルド系を極め過ぎて、危うく公園でダンボールの家に住んでるおじさんクラスのワイルド風貌に行き着くところだった
 ここは紳士として何とかせねば・・・。

 しかし、この伸び切った髭はどうしたものか・・・
 女性陣には分かるまいが、この伸びすぎた髭って奴をいきなり剃ろうとしても、硬いし量もあるので、痛いだけでどうにも成らないのだ。
 だから、散髪屋さんでは温かいタオルでひげを蒸してやわらかくして剃るんだね。
 よし、あれをやろう!と思った訳さ。
 しかし、それにはお湯が要る・・・。


●島の水道事情
 ここで行った試みを理解していただくためには少し補足をしておく必要があると思われる。

  • 僕のすむ島は、基本的にお湯の出る水道なんて高級なものはありません。
  • 水は出るには出ますが、雨の日には必ずミロよりも濃い色の完全な泥水を供給してくれます。
  • いい天気が続くと、水は供給されなくなることがあります。

 そんな訳で、僕はこの1年以上、冬も、髭が剃りたくても、さらに風邪引いた日ですら、この水シャワーと暮らしてきた訳です・・・。


●試み1.即席お絞りを作って髭をそろう!
 友人との約束を控えていた僕には時間が惜しかった。
 ゆえに、創意工夫を凝らしてさっさとHOTお絞りを作成する必要性にかられた。

    〜作り方〜
  1. タオルを準備する
  2. 病院寮のキッチンに忍び込む
  3. コンロの上にかかっているアツアツの紅茶をタオルの上にぶちまける
  4. 軽く絞る

 ほーら、即席アツアツお絞りの出来上がり!
 ちょっと紅茶の香りでアロマテラピーっぽいという特典つき。
 俺様って天才!
 早速、鼻の下に乗せる・・・・。

 アツっ、あ、熱つつつつ痛痛痛痛痛痛痛痛痛うううううう!!!!!!!!!

 これはヤバイ、髭剃る前に皮膚が剥ける。
 慌てて、水シャワーをかぶる。

「ああ、水シャワーってステキ・・・。」

試み1.の結果
 やはり無い物ねだりはいけないよね。


●試み2.超安物髭剃りで、紳士を目指そう!
 絶対ダイソーの100円髭剃りのほうが性能が3倍はいい。
 ゆえに、創意工夫を凝らしてさっさとHOTお絞りを作成する必要性にかられた。
 しかし、背に腹は変えられない。

 ジョリ、ジョリ、アッ・・・ジョリ・・・ 痛っ
 ジョリ・・・イテッ・・・

 鏡を見る。

きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

 スプラッタ顔現る。
「な・・・何でこんな血まみれ男が僕の鏡に移ってるんだ!!?」
 シャレ抜きで引きました。
 怖い、怖いよママ・・・
 今日二度目のびっくりだ。

試み2.の結果
 紳士は髭剃りは安物を使わないほうがよい。
 また選択の余地がない場合はしっかりと髭を蒸らすべき。




 まあ、そんなこんなは有りつつ、何とか髭をそり終え、ついでに頭から水をかぶりシャワーの体勢。シャンプーをたっぷりぶちまけ頭から体まで泡だらけにする。
 ああ、気持ちいい。水シャワーも慣れれば天国だな・・・
 「これからもよろしくな水シャワー」等と、さっきとは全く別のことを思ってしまう。
 そして、いよいよ、泡を流そうとバルブを開ける・・・・

―――沈黙―――

 ?
 ・・・さらにバルブを開ける・・・・・

応答なし

 ???
 ・・・さらに開ける・・・・。
 やっと脳が認めたくない現実を認識しだした。

 断水ってやつですか?
 この全身泡まみれの僕を残して・・・。

NOOOOOOOOO!!.

 神様、今日僕は何か悪いことをしましたか・・・
 仲間に裏切られ、敵地に一人取り残された兵士はこんな気持ちだったろう。

 しばらく待ってみる。
 シャンプーが頭に張り付いてヒリヒリしてくる(絶対何か人体に害のあるものが入ってるぞ、このシャンプー!)
 ・・・・・・シャワーからの応答はまったくない。
 もう信じられるのは自分しかない。
 止むを終えない。ここは『創意工夫』で乗り越えるしかない。
 狭いバスルームに目を向ける。
 「あった、水だ!!。」
 僕の視線の先には・・・

 そう、見慣れたトイレがそこにあった。


●企画変更!!。
 人はどこまでの汚水なら耐える事ができるのか?(試み3.)
 いやしかし・・・・
 確かに洋画「バレンタインデイ」にはそんなシーンも在った気もする。
 しかし、あれはいつも磨いてる言わば、バスタブのようなトイレ。
 一方僕のほうは、いつ掃除したか覚えのない言わば、肥溜めのようなトイレ。
 ・・・この差は激しい。激しすぎるぜ・・・。
 いかん、人として、紳士としてこの選択は拒まねば・・・と言うか、ションベンまみれなら、泡まみれのほうが良い、だって洗った意味ないじゃん・・・。

 そんなわけで第一案は却下。
 次・・・
 そうだ!!
 前からバスタオルを洗濯機の中につけてたんだ!。
 そこには水(ただしミロ色の泥水)がたっぷりある。
 われながらナイス!

 さっそく、ふたを開ける。
 ツーーンと漂白剤の匂いが鼻につく。
 そういや、汚いから入れといたんだっけ・・・。しかも、タップリ。
 うーん。これで頭を洗えば、間違いなく僕の嫌いな巷に溢れる偽外人風の金髪になってしまう(歪んだ見方)

 おかしい
 ただ髭をそるはずが、なぜ頭を脱色するか否かで悩んでるんだ僕は・・・。
 ふと我に帰る。
 ええい、面倒だ!。やる。やってやる!。
 ファイナルアンサー・・・

「オラはスーパーサイヤ人(脱色変態頭)になる!」

 決意を固め、頭から洗濯機の中につけようと屈み込む。
 ん・・・、
 この水・・・おかしいぞ・・・
 なんかジェノーラ以外の匂いもする・・・。
 って言うか、何でこんなに水ノリの状にドロッとしてるんだ?。そしてこの濁りはいったい??
 うーん、ここにほり込んでどれ位経つっけ・・・
「あっ、そうか!。謎は全て解けた!」

 この水、腐ってやがる・・・・。

 うわあああああああああ!!
 できない・・・僕にはできないよぉおおおお。。。。(絶叫)
 ああ、神よ、どうして今日は僕にそんなに辛くあたるのですか?毎日まじめにがんばっているというのに・・・・・。(号泣)

 そんな訳で廃案だった第一案が敗者復活で戻ってきた。
 しかし、二者択一。

  1. トイレの水をくんで頭をすすぐ
  2. 腐った水(漂白剤入り)で頭をすすぐ

 なんて究極の選択なんだ・・・。
 どっちに転んでも汚水じゃないか・・・。

 そのとき。
 ピキューン!。
 ニュータイプの閃きが僕を打った
 「見えるぞ!」(アムロ風)

 それは僕の冷蔵庫の映像だった。
 これだ!!、泡と血を滴らせ僕は走る。
 もちろんフルチンで・・・。
 そして開いた扉の内側には・・・

 ペットボトル一杯の冷えた紅茶・・・。

 お茶を考え出した中国人にこれ程感謝したことは僕の25年の人生経験ではなかった。
 あんたのおかげで、こんな南の島にもお茶がある。ありがとう。
 あぁ、お茶に始まり、お茶に終わる。僕はなんて文化人なんだ。と一人ごちる。
 自分の見事な紳士っぷりに感動しつつ、冷えた茶で髪をすすぐ。
 きもちいい。

試み3.の結果
 紳士筆頭である僕には汚水は耐えられない。


 こうして、今日も僕の気持ちのいい朝は過ぎていくのでした。
 しかも髪からはほのかに(?)紅茶の香り。アロマ気分一日中持続間違いなし。
 さて、爽やかに、一日をはじめようか・・・!!


管理者の意見,感想

 トイレの水か、漂白剤入りの水か‥‥。
 日本の水洗トイレだったら前者だが、半ぽっとんトイレ‥‥。
 だったら、私は漂白剤入りの水かなぁ。
 体への影響はともかく、少なくとも、人間の尊厳は守れそうだし‥‥。

by 神楽坂博


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