レポート提出日 | : | 2001年5月17日 |
実験日 | : | 1998年12月 |
レポート作成者 | : | すぷ |
年末のある忙しい日。
仕事を終えて家に帰り着くと、ポストの中にこんな事が書かれた一枚の葉書が入っていました。
ただいまキャンペーン中!そこにはプレステやら大型テレビやら温泉旅行やらの豪華絢爛(笑)な商品の写真が並んでいました。
キャンペーン参加者にもれなく以下の商品の中からひとつプレゼント!
久しぶりに嗅ぐ悪徳のかほり。ちょっとウキウキしてきました(笑)
関東地区限定5000名だとかなんとか書いてあります。
会社名は『コンプソンインターナショナル』。「イカニモな感じだな〜」なんて思ってしまうのはちょっと先入観入りすぎでしょうか。
さっそく書かれていた電話番号に電話してみます。
もちろんカモのふりをするのを忘れません(笑)。
「あ、あの〜、キャンペーンがどうとかいう葉書を受け取ったのですが…」
「こちらは新しい流通システムを…(中略)…価格破壊…(中略)…。詳しくご説明しますので一度当社のほうにご来社いただけないでしょうか?」
「(おお、まさしくビンゴだ(笑)楽しみ〜)あ、はい。」
「お時間いつがよろしいでしょうか?」
「今日はずっとあいてますが」
「それでは今日の午後4時からでどうでしょう?」
「いいですよ〜」
【代表者】 金星 三男
【生年月日】 昭和 24年 10月 13日
【住 所】 〒1600023 東京都新宿区西新宿6―16―18―301
【電話番号】
【出身地】 香川県
【出身校】
【系 列】
【仕入先】 大丸,一風堂
【得意先】 一般個人
【役員名】社 長 金星 三男
取締役 岡里 章
取締役 金星 節子
監査役 川田 親一
【株 主】金星 三男 全株
もうこの会社概要見た瞬間に「こりゃ勝ったな」と思ったので(笑)、意気揚々と相手先に乗り込みました。
中に入るとまさしくイカニモな事務所です。
あちこちに値札付きのリトグラフなんかが飾ってあります。どうやらリトグラフを高額で売りつける会社も一緒に入居してるみたいです(笑)。
担当には私と同年代(20歳代)の女性がつきました。
当然私は最初からずっと世間知らずのカモのフリです。
「まず最初に申し上げておきますが、こちらでは入会金、会費は一切いただきません。ご安心くださいね」
「はあ」
「まず我が社の説明をしておきます。設立は1996年8月、資本金は4000万円で…」
「あ、あの、その資本金って最初からですか?」
「?」
「資本金4000万って設立時から4000万ですか?」
「そうですよ。どうかなさいました?」
「あ、いえ、なんでもないです。それならいいんです」
この段階でちょっと相手も不審に思ったかもしれない(笑)
なんでこんなことを聞いたか、わからなかった人は先ほどの帝国のデータをもう一度チェックしてください(笑)。
当然これはあとで反撃の材料にするためこれ以上はツッコミません。
「当社はもともと法人向けの福利厚生サービスを業務としてきたのですが、このたびこのサービスを個人向けに展開できないかと新サービス"パーソナルコープ"をはじめることに致しました」
「なるほど…」
「ただ、ある程度の会員を得るためにはやはり広告が必要です。そこで今回は"口コミ広告"という手法を取っていくことにいたしました」
「(おお、出た出た悪徳の常套文句"口コミ効果"!(笑))ははあ、なるほど」
「そこですぷさんには先行サービスのモニターとなっていただいて、このサービスの利点などを口コミで宣伝していただきたい、と。
そのかわり入会金や会費などは一切必要ありません」
「(さて、それではどこで金を取るのでしょう?)ほほう…」
ここから2時間(笑)"パーソナルコープ"のサービス詳細の説明が続く。
当然私はずっと"充実したサービスに感嘆したフリ"をしています(笑)
「さて、このサービスに参加していただくためには3つ条件があります。
1:サービスに参加する意志があること。
参加なさいますよね?」
「もちろん、支払う実費と見合うサービス内容でしたら参加したいですねえ」
「ですから、参加されますよね?
それをご決断いただかないと先のお話ができないんですが」
「いや、だから、お金の話があるのならそれを聞いてからでないと決められませんが」
「それではお話をすすめることができません」
「いま伺ったサービス内容なら参加したいですねえ」
「………(少し悩む)………それでは次の条件です。
2:サービスを利用していただけること」
「利用したいサービスはいくつかありましたね〜」
「……それでは、3つめ。社会的信用のあること。」
「社会的信用?」
「たとえばローンを組んでいる人と組んでいない人、どちらが社会的信用があると思いますか?」
あ、やっぱり(笑)
たぶん論法としては
「ローンを組んでいる人、でしょうね」
「……(ちょっと絶句)……そうですね。で、クレジットが組めることが条件となるわけですが、それは大丈夫ですね?」
「大丈夫です。」
「それでは実際にどの程度の実費がかかるかお話ししたいと思います」
来た来た来たァァァっ!
「先ほども申し上げましたが(実際説明中にちょっと触れた)このサービスは当社が一括して管理しているのではなく、サービスを受けるかたの情報をサービスが受けられる施設にそれぞれ一個所ずつ登録しなければいけません。
そこで、入会費・会費などはいただきませんがこの登録に必要な実費だけをいただくことにしています」
「ふむふむ」
「現在サービスを受けられるのが12500個所、実費が各1000円ですので合計すると1250万円になります」
「……」
「でもこんな金額払えませんよね?」
「払えませんねえ」
「そこで今回は特別サービスとして1250万のうち学生の方は60万、社会人の方は80万円だけいただくことにしています」
「…………なるほどぉっ!」
この瞬間に今までずっと芝居して粘ってまで聞きたかった情報をゲット(笑)。
思わず心の底から納得の声をあげてしまいました。
そしたら……。
「……そういう言い方をされてしまうとちょっと悲しくなってしまうんですが」
今までのが芝居だったって悟られたかな?(笑)
さて、ここから反撃開始です。
「えーとですね、実はここにくる前に私もちょっと調べてきたんですよ…」
「は?」
「いま手元にこんな資料があるんですが……(帝国データバンクのデータを出す)」
「え……」
「まず資本金は1000万円ですよね。4000万円って言われたけど」
「あの、それは……」
「で、このデータによると株主1名で最低資本金額の株式会社なわけです。
お姉さん、5年モニタをやるって言ってましたが、さきほど説明された内容のサービスを5年間完全に続けられる体力がある会社には見えませんよね」
「は……はあ」
「あとは前年度の売上高。これも先ほどの説明とは数字がだいぶ食い違ってますね。
それとこの売上高と利益、従業員数を見比べてみると言われたようなサービスを提供してるようには見えませんよね」
「………………」
「そんなわけでちょっと参加は見合わせたいと思うんですが」
「………………………………」
「あ、あの……?」
「……今、すっごいショックです………」
「ごめんなさい(笑)」
「なんか私が騙されたみたいじゃないですかぁ」
(笑)
いやほんとに面白かった。
またこんな勧誘こないかなあ。
このねーちゃん、会社で金を取れんと思ったら個人的に集ろうって事か‥‥。 by 神楽坂博
|
||