レポート提出日 | : | 2000年4月20日 |
実験日 | : | 1998年11月6〜8日 |
レポート作成者 | : | 織 刃物 |
作成者のHP | : | 織のにーはおなぺえじ |
このようないわゆる自己啓発セミナーが何気にあったりします。某ライフスペースもその内の一つでしょうか。
このセミナー、実際はどんなことをやっているのか?
それを確かめに、私は一年半程前に行ってきました!
………ていうか、半強制で行かされたんですけどね。
ある日、親戚の人から連絡がありました。
「『日本創造教育研究所』というのがあるからいってみろ」とのこと。
何でも、愛媛でそれをやっていたので、会社の人間全員(といっても20名ほど)で行ってみたところ、非常に感銘を受けたそうです。
「金は出すから行って来い」と大学生の内、日本に居た私と従兄2名に白羽の矢が立ちました。
ちなみに私達が行く前に父も行った(行かされた?)そうです。
父の反応は……ノーコメントとさせていただきましょう。
そのセミナーはライフスペースと同じ江坂(大阪府の都市)にありました。
このセミナー金・土・日の3日間行かねばなりません。
当然授業を休んでいかねばなりません。
不承不承学校を休むとその日に限って中国語の小テストがあったりして、ちょっぴり泣きたくなる私。
これを読まれている方の中に「ザンヤルマの剣士」(富士見ファンタジア文庫・麻生俊平著)というシリーズの「オーキスの救世主」という小説を読んだことのある方はいらっしゃるでしょうか?
この本、そういう性格改善セミナーっぽい話が載っていたのですが、かなりこれに近いことをやっています。
以前「ウリナリ」でよゐこ濱口がそういうのに行ってましたが、やはり似ています。
このセミナーの受講料は親戚の方が払ってくれたのですが、その代金なんと7万円!、3日間で7万円!、暴利です。
しかし実はこれにも心理的作用が働いているのです。
「オーキス〜」に書いてあったことを混ぜて書くと、簡単に言うなら「ありがたみを出すため」です。
この代金を払うのはたいてい推薦者か会社。
自分の金で受けたのではない彼らは、「ちゃんと受けねば」という心理が働くようです。
ここに自費で来る人はそもそも受ける気満々ですし。
講師は二人居て、主講師の人は声としゃべり方が非常にみのもんたにそっくりな人でした。みのもんたファンには受けがよいことでしょう。
私はそれ以前までどちらでもなかったのですが、これ以後、その講師のおかげで大嫌いになりました。
この講師、どこぞの会社の社長なのだそうですが、この会社にだけは入りたくないと心の底から思いました。
後日談ですが。
講師二人以外にも十数人のスタッフが居たのですが、この人たちは皆私達の先輩方で、ボランティアで参加しているそうです。
みのもんたな講師がまず注意事項を説明します。
軽い説明の後、グループ分けが始まります。
「これが何を意味するのか解りますか?
その後、グループ単位でゲームがありました。
が、一人でも頭の働いてないのが居るとクリアは無理。
同様に今度は全員でやるゲームです。
今度はヒネた性格と頭でないとクリアは無理。詳しく書くと長くなるので省略しますが。
というわけでどれも無理(前者は一組だけ出来ていましたが)。
すると講師からの「ありがたい」説教。つまり普通は出来ない代物を持ち出し、それに関してのミスをあげつらいへこませるというわけです。
「それがあなたに足りないものだ!」
「観念(先入観)があるからそんなこともわからないんだ!、もっと素直な目でみなければ!」
素直な連中だから皆駄目だったんですが。
ていうか頭が回らないから出来なかっただけですが。
元々ここに居る連中は皆「これに向いている」から来させられた連中。
皆さん簡単にへこみます。
すると部屋が暗くなります。
うってかわって優しげな口調になる講師。
彼はとくとくと語ります。だんだん静かながらも熱い口調になっていきます。
それと逆に私はどんどん冷めていきましたが。
しかし、ここに居る皆さんは非常に簡単な方々で、すすり泣きが聞こえてきます。
2日目。
定番その1。誰かと向かい合わせになります。
リラックスするため部屋が暗くなります。
そして自分が過去にやらかした罪をお互いに語るわけです。
こういうのがあるのはわかっていましたので、「小学校の頃に人殺して公園に埋めた」とかいう台詞を考えていましたが、話す相手が講師ではなく受講者の一人なので、それはさすがに失礼と普通に話してました。
3日目。
講師というわりにはすっとぼけた台詞を吐いてくれて、何気に駄目ぶりを発揮してくれたみのもんたそっくりな講師(もう一人の講師は結構まともなことを言っていたのですが)でしたが、ここにきて最高に駄目な発言をかましてくれました。
「親から愛情を受けて育った子はいじめっ子にもいじめられっ子にもなりません」
何と素敵な言葉でしょうか。
仮に生まれつき片目のない子がいたとして、その子は親から愛情もらって育てられていれば学校で「片目無し」と虐められることはないわけですか。
虐められればそれは親の愛情が足りないわけですか。
ふざけんな。
その子だけでなく、その親への侮辱ですな。この台詞にはさすがにキレました。よく途中で帰らなかったなと思いますよ。
再び相手の人と向き合います。
定番その2、「相手の性格の欠点を言い合う」。
くらい部屋の中で相手をぼこぼこになじります。
言い合った後、講師が語ります。
「それはあなた自身の欠点です」
なわきゃねえだろ。
今度は逆に長所を言い合います。
その後同じように「それはあなた自身の長所です」
だからそんなわけねえだろって。
ちなみに、休憩時間が数時間に10分の割合で存在します。
今日は何故か「休み時間中にしゃべってはいけない」と言われています。
理由があったような気もしますが、確かかなりどうでもいいような理由でした。
それよりも、これが終わった後の予定を従兄達に訊けないんですけど。
すくなくとも私のグループはこの後飲みに行く事になっています。
こんなわけのわからない規則なんぞ破っても支障無いような気もしますが、それで怒鳴られるのも気にくわない。
てなわけで筆談。しゃべってはいませんよね?
ラストその1。まず全員の内の半数で円を作ります。
その中にもう一つ、残りの半数で円を作ります。フォークダンスと同じですね。
再び部屋が暗くなります。そして講師は言います。
「自分の気持ちを示します。ジャンケンの要領で片手を出します。
お互いの立てた指の数が1本なら顔を背け、2本なら見つめ合い、
3本なら握手、そして4本なら抱き合ってください。
もし立てた指の数が異なるなら同じになるまで繰り返してください」
……円の中にはボランティアスタッフの方々も含まれているのですが、この方達、「4」しか出さないんですよ。こっちが「4」出すまで終わらないわけです。
迷惑この上ない。
最初はフォークダンスと同じように横にずれていきましたが、しばらくしてばらばらになって適当な人とこれをやります。
また感極まって泣いてるおっちゃんとか居て、その人達相手にしてると可哀想で「4」しか出せないんですね。
ラストその2。皆で並んだ後、横に体を向けて目を閉じるよう指示されます。
「ここに来るよう奨めてくれた人に対して、あなたは指を何本出しますか?
――さあ、出してください」
出します。
「――それでは、目を開けてください」
開けました。
…………………
………………………
……………………………
なんで目の前に父がいるんですか?
隣にいる従兄達の方を見てみると、おじさん達の姿があります。
周りは歓声と共に抱き合っています。ちなみに私が出したのは「3」。
…………よかった、「1」をださなくて。
一言で言うなら『神様の居ない宗教』でした。
このセミナー、制限があります。『18才以上但し高校生不可』。で、主な内容が「大人としての義務」、「会社とは」云々。
……私、18才の大学生で、どっちにもいまんとこ当てはまらないんですけど。
「大人の基準は精神面がどうであれ20才から。それまでは子供は子供であるのが義務」が持論の私にはそんな話は右から左。全く意味がございませんでした。
それからもう一つ言えること。このセミナーの創立者は人格者かもしれませんが、その教え子達もそうであるとは限らないということです。
何故なら、このセミナーの講師になるための条件というのが、このセミナーを受け続けばなれる、ようするに金と時間さえあればなれるということ。人格者である必要欠片も無し。学校の先生と同じですな。
そもそも、7万円ぼったくるセミナーの創立者が人格者だとはとうてい思えないんですけどね。
最終結論。
人生に疲れた中年以降の方にだけお奨めです。
あと人間不信の方にも。
実はσ(^^)、今から8年前に『(株)アーク・インターナショナル』の自己啓発(開発)セミナーに参加しました。
織刃物さんとおいらが受けたセミナーは全く別のところが主催なのに、その時の行われた内容はこのレポートに書かれたものと全く同じ。細部に至るまで瓜二つだ。
この手のセミナーに出るとまわりの雰囲気に酔って自分を見失いがちになるものなのに、終始冷静に状況を見つめれた織刃物さんはすごいと思うぞ、いやホントに。
こんなセミナーを受けて本当に『自己啓発』出来るのか?。答えは、出来ません。
しかし、セミナーを自己啓発の場としてではなく『体験型アミューズメントパーク』として考えれば、こんなに面白いものはない! >人生に疲れた中年以降の方にだけお奨め
なんて事はなく、老若男女が楽しめます。役に立つかどうかはともかく、楽しめることは間違いないです、ハイ。 ただし、体験料がバカ高なんで中年以降のお金が余ってる人に限るのかな、やっぱ‥‥(^^ゞ
なお、おいらが昔受講した自己啓発セミナーの事は『自己啓発セミナーを暴露しちゃるっ』や『自己啓発セミナーと精神世界』などのHPに詳しく載ってます。 by 神楽坂博
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